何もないから、楽しいことを作っていく
■interviewee profile
リノベーション「けみや」／フォトスタジオ＆美容室「studio_fufu」
毛見俊夫（けみとしお）さん、美樹（みき）さん
毛見俊夫さんは昭和51（1976）年東京都生まれ、4歳のときから高校まで両親の実家のある柏崎市で暮らした後に上京。美樹さんは昭和52（1977）年千葉県生まれ。互いに関東で暮らすなかで出会い、平成23（2011）年に結婚。平成30（2018）年4月に埼玉県から家族4人で柏崎市に移住しました。
知らない土地に来たみたい。20年ぶりの地元暮らし
――移住したきっかけは？
俊夫 ずっと関東で働いていて、正直、（柏崎に）戻ってくる気はなかったんです。でも、親戚一同が集まった宴席で「長男が帰ってこないと家がなくなる」という話題が出たときに、酔っぱらっていた僕が「戻る！」と言ったらしくて…自分でもよく覚えてないんだけど（笑）。
美樹 私も「戻るなんて話、聞いてない！」って驚きましたよ（苦笑）。だけど、もう決めたならしょうがない、と気持ちを切り替え、長女の小学校入学前のタイミングで柏崎に移住しました。
――柏崎で暮らしてみて感じたことは？
美樹 私は雪国を知らなかったので、異国に来た感じ（笑）。そもそも山が見える環境で暮らしたことがなかったです。自然は豊かですが保育園や学校、病院が少ないので、子育ての環境が変わってしまうのがちょっと心配でした。
俊夫 僕は、20年ぶりに帰ってきたので昔の友達もいないし、地元といっても自分の知らない土地に来たみたいでしたね。柏崎とつながりがない中、まずは仕事を探すのが大変でした。その後、向こうでやっていたリフォーム業の仕事が徐々に増えていったんですけど。
楽しいことがしたいっ！セルフフォトスタジオを設立
――そして、ことしの4月にstudio_fufuをオープン。こちらではどんなことができますか？
美樹 カメラやスマホを持ち込んで撮影を楽しめるフォトスタジオです。リノベーション「けみや」の隣の古民家を改装したスタジオに多彩なシチュエーションを用意（1人1時間1,650円）。韓国で流行したセルフフォトスタジオスペースではリモコンを使って一眼レフカメラで撮影できます（1人30分1,100円）。以前、埼玉で利用したフォトスタジオが楽しくて、「やってみたい」って思っていました。それと、併設する美容室（予約制）では私がカットとアレンジをやります。子どもが生まれてから休んでいた美容師の仕事がまたできることも、うれしいですね。
――移住してすぐにフォトスタジオの展開を考えましたか？
俊夫 動き出したのは前職と同じリフォーム業を開業して、柏崎暮らしが落ち着いてきた頃。「次は何か面白いことしたい！」と思っていたんです。で、柏崎に来てからこの物件がずっと気になっていました。古民家の建物が３つ国道沿いにあって、裏には田んぼと山がある。「すごく面白そう！」って（笑）――ここを買っていろんなことをやれる拠点にしようと。
美樹 「えー？ こんな大きな建物？」って言いましたが、やると決めたら変えない人だから（笑）。それに私も柏崎に来てからずっと「何か楽しいことがしたい！」って思っていたので、賛成しました。
俊夫 楽しいことがないなら自分で作っていけばいい。僕は若いときからパンクロックが好きで、音楽を楽しむバーをやりたかったけれど都会では資金面が難しかった。この物件は良い軽自動車を購入するくらいの金額です。この金額でできるなら、好きなこと、楽しいことをやっていこうって思いました。
――studio_fufuの向かいの建物には、「かき氷」ののぼりも立っていますね？
俊夫 建物の前の国道をバイカーがよく通るので、かき氷を販売したら立ち寄るはず！と。かき氷屋をやりたいのではなく、この場所が話題になるように、と思ったんですよ。秋から販売するたい焼きの機械も購入済です。僕は欲しいものがあったとき、悩まず即決します。…要は、あまり考えていないです（笑）。でも、考え過ぎないから新しいことにチャレンジできるのかもしれないですね。
都会で楽しんできたことを柏崎でも楽しむ
――今後の目標を教えてください。
俊夫 けみやという屋号で本業のリフォーム業、妻が店長を務めるstudio_fufu、かき氷とたい焼きを販売するFUFU茶屋の3本柱でやっていきます。今後は空き家を再生して移住する人に住んでもらう事業も考えています。
美樹 フォトスタジオでイベントもやっていきたいです。8月に夏休みの親子向けワークショップを開催しましたし、秋には近所のカフェと一緒にハロウィーンイベントを計画しています。
俊夫 あと、柏崎に新しくオープンした古着屋さんと一緒に古着イベントも企画中です。このフォトスタジオを始めてから、僕たちのように「柏崎で面白いことをやりたい！」という仲間がつながって、新しい可能性が広がっています。都会で楽しんできたことを柏崎でもやってしまおう！と思っているので、僕はここでいつか音楽イベントをやりたい。（そのための）生ビールサーバーも、もう買ってありますよ（笑）。
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