新潟県柏崎市

柏崎アニメスタジオ

柏崎在住の方、柏崎出身者、柏崎に勤務している方の中から柏崎では、珍しい活動などをされている激レアさんを探し、紹介する連載コーナーです。今月は、柏崎アニメスタジオを立ち上げた激レアさんに会ってきました！

激レアさんprofile

荒尾　哲也（あらお　てつや）さん

市川市出身。東京の「スタジオガッツ㈲」「上井草アニメスクール」の代表取締役。「スタジオガッツ㈲」はワンピースやプリキュア、ベイブレード、フェアリーテイルなどのアニメーション（以下アニメ）作品を手掛ける制作会社。

柏崎アニメスタジオはどんなところ？

これまでのアニメ制作のノウハウを活かした体を鍛えるジムならぬ、画力を鍛えるジムです。描いたキャラクターをプロのアニメーターが添削し、上達を目指します。上達し一定基準を満たした方は、アニメ作品の原画制作に参加できちゃいます。学校や会社帰りに、ちょっと寄って全国オンエアされる番組に参加なんて楽しそうでしょ？　番組への参加を目指すもよし、ただ絵を描くのを楽しむもよし、そういう場所です。

▲ イラストを添削中（左から生徒さん、アニメーター、荒尾さん）

なぜ柏崎でアニメスタジオをはじめたの？

出身でも、ゆかりがあったわけでもないんです。「アニメーターを目指しているけど、東京に来られないなら、こちらから迎えに行こう！」と、新たな拠点を全国から探していたとき、新潟市がマンガに力を入れていると知りました。でも新潟市では東京でやるのと変わらないと思い、たどり着いたのが柏崎でした。海や岬、山の自然も理想どおりでした。なにより「柏崎の人」に惹かれましたね。例えばえんま市のとき、閻魔堂にお参りに行く。というように、街のみんなで共通の習慣を持っている。都会のように他人の行動は気にしないドライな人たちではない。そこがよかったんです。ここだ！と思い、平成30（2018）年7月に柏崎に来て、令和元（2019）年の5月からアニメスタジオを始めました。

▲毎年6月14日～16日に開催される、えんま市

アニメに、はまったきっかけは？

小６でガンダムにはまって、それからですね。高校生のとき、8ｍｍカメラでアニメ作品を作り「ここで笑って欲しい！」と思ったところで、3,000人の生徒が、どっと笑ってくれたことは今でも忘れられません。それから美術大学に行き、アニメの道に進みました。

アニメの仕事をしていてよかったことは？

たくさんあるけど、例えばプリキュアの映画で、子どもたちが一生懸命キャラクターを応援しているような、お客さんの反応を見るとうれしく思います。アニメはどちらかというと内向的な人が好むイメージを持たれがちですが、学生の頃、人間関係がうまくいかなかった人が、スタジオでは仲間たちと楽しく仕事をしているのもうれしいですね。悩み多き学生生活を送っていた人も、みんなが楽しめる番組を作ることで、街のちょっとしたヒーローになることもある。柏崎を飛び出したいと思っている子が、ここ柏崎で楽しく働いて楽しく暮らす一助になれたらいいと思います。

今後どのようにしていきたい？

東京に行かずとも、柏崎でアニメを制作することができるように、アニメーターを養成するスクールの運営や、作品制作の拠点をつくります。また、アニメーターの寮をつくったり、アニメーターやアニメ、柏崎の街を使って海外からお客さんを呼んだり、オリジナルの純正柏崎産アニメを作ったり…やりたいことはたくさんです。アニメーターを目指す人が集まれば実現できます。人以外の材料はもう、そろっている。だからたくさんの人に、まずは気軽にスタジオに足を運んでほしいですね。

インタビュー後日談

取材後、剣野小学校と柏崎高校の依頼で、アニメ業界のお仕事紹介や、アニメーターと絵を一緒に描く授業を行ったそうです。児童生徒の皆さんが、とても関心を持ってくれたのがうれしかったと語る荒尾さん。「今後も学校で授業を行い、一見アニメとは縁の無さそうなこの街でも、アニメ文化と職業は成立する、夢はこの街にあると伝えていきたい」と力強い言葉をいただきました。

柏崎アニメスタジオの会員も増え、今年（2020年）の10月には東京からアニメーターが2人、柏崎に移住し、アニメ制作をしながら、アニメスクールの講師もされるそうです。また、来年４月には、東京と同様のアニメスクールを柏崎にオープンさせるそうです。「ゆくゆくは全国各地から生徒を募れればと考えています。ここでしか用意できない環境というものが、柏崎にはあるのです。」と語る荒尾さん。柏崎がアニメの聖地になる日は、近いのかもしれません。